(著者)七寒六温
同じ大学に通っている友人に、
「今日の朝ごはん、何だった?」
と尋ねられたので、
「あ~ 今朝は、食パンとベーコンだけど」
と答えると、その同級生は、日本語を流暢に話すチンパンジーを見つけた時のような顔で驚く。
そ、そんなに驚かなくても。
いうても僕は、地方から上京してきた大学生なもんで、バイトをしておらず親の仕送りで生活している身なため、朝は今日みたいに安く、軽く、済ませるんですよ。安そうな朝飯……安朝飯(やすあさめし)で悪かったな。
そう、僕は安朝飯が原因で、同級生は驚いたのだろうと思ったのだか、違った。
「お前でも、パン食べるんだ~」
パン?
友人は、僕がパンを食べたことに驚いたようだ。
えっ? でも、そんなに驚くことなのだろうか。別に普通の行動だが。
「何が? そんなおかしなことかな~?」
「いや~お前でもパン食べるんだな~って。米だけしか食べないと思ってた」
……確かに僕は、お米が美味しい新潟で、美味しいお米に囲まれて育ちましたよ。
ご飯派か、パン派かって聞かれたら、勿論ご飯派だけと、パンを食べないわけじゃない!
「食べるよ、食べる。俺のこと何だと思ってるの?」
「新潟生まれ新潟育ちの人間は、お米だけ食べているわけじゃないのよ。だってそうでしょう? その理論だと香川県出身の人はうどんだけを食べることになるでしょ?」
「そっか……」
「よかった~俺はさ、お前のこと大切な友だちだと思ってたからさ、ずっと友だちでいたいな~と思ってたんだよ」
「だけどさ、ウチ、実家パン屋でさ、そのことお前に話したら、嫌われたり、敵視されるんじゃないかと思って」
「実家のパン屋の話はおろか、パンの話も極力避けてきたんだよ」
「あ~ よかった~ 米だけ食ってるマンじゃなかったのか~」
「だ、大丈夫だよ、そんなことで君のことを敵だとは思わないし、嫌いにもならないよ」
「まじか、よかった~」
「でもね、お米食べてるマンの僕から、1つだけ言わせて……」
「米じゃなくてお米ね、もしくはご飯」
お米のことを、軽々しく米と言う行為。
……それだけはいくら友人でも許せない。
だって、お米は生まれたときから僕のそばにいてくれたベストフレンドだから。