(著者)せとやまゆう
「あの子の気持ちが、読めたらなあ」
僕はつぶやいた。
「ついに完成したぞ!努力したかいがあった」
博士は振り向いた。
「何が完成したのですか?」
「君にぴったりのものだよ。相手の好意がわかる薬、脈あり判定薬だ。これを飲むと、その人が見ている相手への恋心が見える。好意があれば完全なハートマーク、好意がなければひび割れたハートマークというように・・・」
次の日、廊下の向こうから、好きな女の子が歩いて来る。僕は急いで薬を飲んだ。すると、彼女の頭上に完全なハートマークが浮かんだ。放課後、僕は告白した。しかし、返事はノー。
博士に泣きついて、文句を言った。博士は首をかしげながらも、気の毒そうな顔をした。僕は親友の家にも行った。彼はしっかり話を聞き、なぐさめてくれた。二人で笹団子を食べて、心が少し落ち着いた。やはり、持つべきものは親友だ。帰り道、日本海に沈む夕日を見ながら、そう思った。
いつも、われわれは一緒にいる。トイレに行くときも、移動教室のときも。そういえば、あの女の子とすれ違うときも、一緒にいたっけ・・・。